【d!】ちゃうんですって!!!! (ページ4)

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当時別の事に時間を割いていた陽呂は、余裕が出来ればプレイしようと一旦自室のクローゼットに仕舞い込んだ。

それから凡そ二年半、クローゼットの奥底で眠っていた埃まみれのソフトを見つけるまで、陽呂はその存在を忘却の彼方にしていた。自分は大丈夫だと根拠のない自信を盾に楽観視した結果がコレだ。今の陽呂からすれば台パン案件である。
ここでまた仕舞っては同じ事の繰り返しになってしまうと悟った陽呂は即座にゲームを起動し───そしてどハマりした。なんて見事な即落ち2コマ。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

「そういや今日って何するんやったっけ？」

「先輩らがやっと揃いそうやから親睦会するでーってトントンが言うとったやん」

捏田の言葉に希はハッとした様子で手を叩き「プロかぁ！？」と瞳を煌めかせる。冷たそうでも火傷しそうでもあるその緑光は星が落ちた様な存在感を放っている。数回瞬きをすれば見えなくなってしまったソレに暗闇で舞う蛍みたいだと思った。

話は変わるが、戦争･暗殺等という命を脅かすような事柄が身近に無い影響なのか"結縁希"は前世の"ゾム"よりも雰囲気が朗らかである。
勿論警戒心などは人並み以上に備わってはいるが、それも前世と比較すると野良猫程度のものであり(前世の世界と今世の世界では警戒心の必要度合いがまるで違う為至極当然の事なのだが)、前世の荒れ具合を覚えている人からすれば彼と仲良くなるなんぞスター状態のガンギマリオがクッパ城を征伐するくらい簡単なお仕事だった。勝ち確演出ktkrと言う奴である。
こんな暴挙とも言える事が罷り通るのも、兄さん(軍団長のことではない)の言っていた通り"希"の本質が前世"ゾム"として生きていた頃とまるで変わっていなかったのが要因なのだが、それはさておき。

移り変わっていく話題に時折カラカラと、喉を鳴らすように笑う彼ら。そこに自然と混ざっている希の表情にはまだぎこちなさが残っている。が然し、それも直ぐに霧散するだろう。強固なATフィールドが取っ払われた今、我々の道筋を遮る茨は灰と化すのみである。

たとえ其処がコンクリートの剥げた道路であろうとも関係ない。元々草木が生い茂っているような道とも言えない道を率先して歩む人間に忠誠を誓っている身なのだ。待ち望んだ光景がようやっと指先を掠めたのに、その程度で撤退するわけがないだろう。

ありふれたデザインの蛍光灯の無機質な光が撒かれた一室で、一人の男の無邪気で邪悪な笑い声が響いた。