9 ページ10
♡
「じゃ〜な大先生！」と大きく手を振るシッマに、大先生と呼ばれた彼は未だ頭上にクエスチョンマークを思い浮かべながらも小さく控えめに手を振り返す。シッマに手を引かれて急かされながら歩く私と目があったかと思えば、彼は一拍置いて、そして暫くしてじわじわと頬を上気させていく。
気まずそうに目を逸らして、前髪を無理にでも引っ張って必死に自分の顔を隠そうとする彼に試しに空いている方の手を振ってみれば、彼は一瞬躊躇った後におずおずと振り返してくれた。
『ぇ〜、かわいい……』
「………」
きっと顔立ちの事を相当気にしているのだろう、小学生にしては随分と深い哀愁と諦観が垣間見えるものの、こういったところを見ると初心な小学生で可愛らしい＿＿＿それに何より、凄く私好みの顔立ちをしている。
弟の友達なら何か今後も接点があったりするのかな。まとめて私が幸せにしてあげたい、よしよし可愛いねって褒めてあげられるのは私しかいないんだから。ふふん。
この世界では相当珍しいレベルでの美形が身近に既に二人も居る事にニマニマと頬が緩んでしまう私の手を、注意するが様に不意にシッマはぎゅううと強く握り締めた。強いとは言っても所詮小学生の柔い手では大した力では無いが。
『どうしたの、シッマ？』
「………大先生の方が、好きなん？おれが一番って、言うたのに」
足を止めて地面へと視線を落として、覇気無くそうポツリと零すシッマの頭へと手を伸ばす。見た目よりもずっと繊細で柔らかい彼の髪を堪能しながら梳く様にしてゆっくりと撫ぜれば、ぎこちなく私を見上げる碧眼と目が合う。
拗ねているのかと思っていたが、それ以上に寂しげな様子に胸を打たれて道の真ん中にも関わらず抱き寄せた。あ〜、うちの弟が一番可愛い、泣きそうな顔をしていても可愛いなんて罪だ………勿論、泣かせたりなんてしないけど。
『シッマが一番だよぉ』
「……ウン」
『一番かわいい、シッマの事大好きだよ』
「ン」
確かにイケメンは幸せにしてあげなくちゃと使命感を持っているが。でも何よりも、私はシッマの事を姉としても大事にしてあげなくちゃいけないから。抱き締められて安心したのか、目をとろんと溶かして私の肩へと擦り寄るシッマ＿＿＿と同時に、ぐぅと一つ腹の音が響いた。
『あっはは、シッマの好物作ってあげるからね〜』
「ほ、ホンマに!?」
ああ、でもあんまり手料理する家じゃないから食材あんまり無いな家。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レインコート - おかえり様です！（？）またヤンデレで美醜逆転な私の性癖ど真ん中な小説が更新される事になるのがとても嬉しく思います！！！更新頑張ってください！！ (11月29日 17時) (
レス) @page17 id: 6f0674a1a0 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - 素敵な作品、続きが楽しみです💚 (11月1日 0時) (レス) @page14 id: 0f5b165956 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - ほんとに面白いです！美醜逆転ってあんまり無いのでありがとうございます!(´▽｀) (9月20日 19時) (レス) id: 8c7b1b900d (このIDを非表示/違反報告)
絵猫蒼(プロフ) - 面白すぎて今全私が脳内お祭り騒ぎですｗありがとうございます･･･！ (9月15日 17時) (レス) @page7 id: 546b1f5c91 (このIDを非表示/違反報告)
LU - ｴｯｯｯドチャクソ好みです……はわ…美醜逆転好きすぎます！！！作者様の世界観と言うか物語の書き方と言うか……とにかく好きです！！これからも応援してます！お身体に気を付けて更新頑張ってください〜〜✊ (9月14日 23時) (レス) @page5 id: cc01457125 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
