【d!】恋に落ちてしまったため【zm】 (ページ21)

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第二十一話ページ21

「Aは、ちょっと昔の事を思い出してしまったんや。」

昔の事?

やっぱり、Aは昔なにかあったんだ。

「なあ大先生。美緒は昔、一体何があったん。」

俺は大先生に聞いたが、大先生は何も言わず、俺から気まずそうに目をそらした。

「なあ、なんでなん。なんで教えてくれんのや。そんなに話せへんことなん?」

すると大先生はやっと口を開いた。

「なあゾム、俺、さっきも言ったやろ?ゾムにとって、この事を知るのはきっとつらい事なんや。」

「ええよ。俺がなんでつらい思いをしてしまうのかはわからへんけど、俺は別に構わん。大先生、頼むから教えてくれへんか?」

「...だからこそダメなんや。ゾムは優しいから、きっと許してしまう。俺はゾムに悲しい思いしてほしくない!」

俺はなんて返せばいいのかわからなかった。

大先生は俺の事を思って話そうとしない。

それでも教えろなんて言ったら、それは大先生の優しさを踏みにじることになってしまう。

俺は、そんなことは、できない。

でも、それでも気になる。

どうしようかと考えていると、コネシマが突然口を開いた。

「...大先生。さっきから【きっと】ってめちゃくちゃ言ってるけど、それって大先生が思ってるだけやろ?大先生のゾムを守ろうっていう気持ちは、話聞いている限りすっごい伝わるんやけど、でも、ゾムにとってそれは悲しいでもあるんとちゃう。ゾムにとっては自分の事を信じてくれっていう気持ちもあるんやろうし、、、俺から見たら、大先生はただゾムの気持ちを考えているように見えて全然考えてないように見えるんやけど。」

コネシマは大先生の瞳をじっと見つめながら話していた。

コネシマは大先生と一番仲が良かった。

よく二人でゲームをしていたり、ある時は一緒に暴れて先生にめちゃくちゃ怒られていたり。

でもその分、大先生の変化にはいち早く気づいていたりしていた。

確かに俺やシャオロンとも仲が良かった。

でも、コネシマは大先生が転校してきたとき、一番最初に話しかけに言って、一瞬にして大先生の化けの皮を剥がした。

それぐらい二人が仲が良く、相性がいいという事を知っていた。

最初は少し寂しかったりと自分らしく無い事を思ったりもしていたが、二人の掛け合いを見ているうちに、なんだかそれがうれしかったりしていた。

そんなコネシマが大先生にズバッと言っていて俺は少し驚いていた。

シャオロンも少し驚いていた。

大先生はじっとコネシマを見ていた。