shp−こんなの逃げられない ページ4
本当に偶然だった。
通りがかった廊下でとっても大きな高笑いが聞こえてびっくりして、隣にあった喫煙室を覗いてしまっただけ。
その時に、彼の舌先が二又に割れているのに気がついてしまった。
ショッピさんとは挨拶くらいしかしたことが無い。お互い積極的に声をかける方じゃないし、用事もなかったから。
でも先日彼の舌が所謂スプリットタンだと知ってしまってからなんとなく彼のことを意識するようになってしまった。
例えば彼の声。
今までは気がついていなかったけどショッピさんは少し舌足らずらしい。聞き取れないほどじゃないけどどことなく幼さを感じるような話し方だ。
例えば彼の煙草。
彼は結構なヘビースモーカーらしい、頻繁に喫煙室に足を運んでいるところを見掛ける。彼がよく吸っているのは濃いブルーの箱の煙草らしい。
「ふぁ……、ねむ……」
「……」
例えば、彼の舌。
彼が何かを話す度、彼が煙草を吸っているのを見かける度にちらりと覗く赤い舌に視線を向けてしまうのだ。そして困ったことにそれは他人から見てもかなりあからさまだったようで。
「もしかしてショッピさんのこと好きなの？」
「あはは、ちょっとショッピさんのこと見すぎだよ！」
などとからかわれてしまうのだ。
正直じっと見てしまっている自覚はあるのだが、見ている時は本当に無意識なので中々改善できない。
「う〜ん、どうしようかなぁ」
「どうしたんすか、Aさん」
えっ、と声も出せずに振り向く。
なぜ彼が？普段は声など掛けてこないのにと思い周りをちらりと見渡すと気がつけばもうここには彼と私の2人だけしかいない。帰り際に1人で唸る私を見かねて声をかけてくれたのだろう。
いや本当にそうなのか……？もしや遂に本人にもバレてしまって2人きりの今注意をされるのでは？
そうは思いながらも何も言わないわけにもいかない。
「あ、と、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。ほんでどうしようってなんかあったんすか？」
「いや、ほんと大したことじゃないんです、ご心配おかけして申し訳ないです」
バレてない……？それとも注意するタイミングを見計らっているだけ？どちらにせよ自分から貴方の舌が気になっちゃって〜なんて言えるわけがない。とにかく今は誤魔化さなければ……。
「そうですか、じゃあ話変わるんですけど」
「え、はい？なんでしょうか」
「ちょっと失礼します」
何を、という私の声は彼の唇に塞がれ音にならなかった。
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爛々炯々(プロフ) - コメントありがとうございます！ciさんは待つ側が似合うなぁと思って書きましたので、かわいいと思っていただけて嬉しいです (5月3日 18時) (
レス) id: 941ba7a10b (このIDを非表示/違反報告)
犯罪者予備軍(プロフ) - なるほど弱々チノくんクソ可愛いくて好きです (5月3日 9時) (レス) @page34 id: 121e844a58 (このIDを非表示/違反報告)
爛々炯々(プロフ) - 闇の塩分さん» コメントありがとうございます！口調や彼ららしさを表現するのにはかなり苦戦していますのでそういっていただけて嬉しい限りです！かなりのんびりの更新になってしまいますが、ぼちぼち更新していきます！ (2022年8月25日 0時) (レス) id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
闇の塩分(プロフ) - 初コメ失礼します！女の子が毎回可愛く書いてあって好きです！wrwrdの皆さんの口調というか、性格も掴んでて……私的にはtnさんのお話が好きです！これからも自分のペースで更新頑張ってください！(￣ー￣)ｂｸﾞｯ! (2022年8月24日 15時) (レス) @page9 id: f6e8056ac4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爛々炯々 | 作成日時：2021年8月27日 0時
