rbr−君のせい ページ25
文化祭の最後には文化委員達が歌うらしい。友人に告げられた言葉を何となく思い出した。
私は体育館の小さな音響室で短い台本を握り締めながら、舞台を映す小型テレビを見つめている。
演劇部の舞台が終われば、もう残るプログラムは一つ。
小さく息を吐く。放送部になって2年目。全国大会にも出場したし、今更これくらいのことでは息を詰める程緊張はしない……はずだった。
彼の存在がなければ……。
「A、大丈夫か？」
「……っ！う、うん」
舞台に影響のないよう暗くされた音響室の中でも一際輝く桃色の瞳。小声に抑えようとしてもよく通る声。
私の、好きな人。
「緊張してんの？」
君のせいだよ。なんて言える訳もなく、それらしい言い訳で誤魔化してしまう。
「朗読はするけど掛け合いはほとんどしたことないからさ、やっぱりちょっと緊張しちゃって」
「んふ、俺も。全国の時とはちょっと違う緊張やな」
絶対に嘘だ。いや彼も緊張しいなことは知っている。彼も全国に出場したけど、その時は本番前にガチガチになっていたし。顔はちょっと青かったように思う。
読み始めたらなんでもない顔でにっこり笑っていたのは流石としか言いようもないが。
でも今はそうじゃない。本番前なのに余裕そうに笑っているし、顔色はほんのり桃色だ。なんだか楽しげだし嬉しそう。
「緊張してる風には見えんへんけどなぁ。なんか楽しそうやし……あそっか、シャオロンくんが歌うんだっけ」
「んー？ああ、せやね。まぁそれも楽しみかな」
ロボロくんはくすくすと笑いながら自分のカーディガンの裾を引っ張っている。くそぅ、かわいいな。彼が楽しそうにすると私が緊張するんだけど、どきどきしちゃうから。
演劇部のシナリオが終わりに近づく。緊張を振り払うために台本を確認した。
高校生の男女2人が文化委員たちのライブを楽しみにしている……というまぁ彼らのライブの演出だ。
「はぁ……。よし、そろそろ準備しよっか」
「ん、OK。Aの緊張はどう？」
「本番始まったらどっか行くから大丈夫」
テレビの前からマイクの前へと移動する。
台本を置き、軽く最終チェックの為に台詞を読んだ。
「なぁ、A。おれほんまに緊張してんで」
「えー？もう、ぜったい……う、そ……」
まだ言うかと振り返った。
あまいあまい桃色の瞳と、目が合った。
「お前と二人っきりで、緊張せんわけないやろ？」
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爛々炯々(プロフ) - コメントありがとうございます！ciさんは待つ側が似合うなぁと思って書きましたので、かわいいと思っていただけて嬉しいです (5月3日 18時) (
レス) id: 941ba7a10b (このIDを非表示/違反報告)
犯罪者予備軍(プロフ) - なるほど弱々チノくんクソ可愛いくて好きです (5月3日 9時) (レス) @page34 id: 121e844a58 (このIDを非表示/違反報告)
爛々炯々(プロフ) - 闇の塩分さん» コメントありがとうございます！口調や彼ららしさを表現するのにはかなり苦戦していますのでそういっていただけて嬉しい限りです！かなりのんびりの更新になってしまいますが、ぼちぼち更新していきます！ (2022年8月25日 0時) (レス) id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
闇の塩分(プロフ) - 初コメ失礼します！女の子が毎回可愛く書いてあって好きです！wrwrdの皆さんの口調というか、性格も掴んでて……私的にはtnさんのお話が好きです！これからも自分のペースで更新頑張ってください！(￣ー￣)ｂｸﾞｯ! (2022年8月24日 15時) (レス) @page9 id: f6e8056ac4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爛々炯々 | 作成日時：2021年8月27日 0時
