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………寝れない。


自分の机に伏せて顔を埋め込んでみるけれど、一向に眠くなる様子がない。それもその筈、先ほどの出来事に、更にクラスの人の視線があるからだ。少し睨みつけるようにして、隣の席のきんときを見た。問題を起こした当の本人は気にする素振りも見せず、いつも通り先生の言葉に耳を傾けている。解せない。


そんなこんなでジーッと見つめ続け、それに気付いていないのか気付いていて無視しているのか、全く気にする様子もなく授業を受けるきんときくんという謎の構図が続き、あっという間に昼の時間になった。彼から逃げようとそそくさと隣のクラスへ行こうとしたけれど


「どこいくの?」


ニッコリ、と効果音が付き添うなほどに黒い笑顔を向けられたものだから、渋々といった感じで彼に付き合うことになった。



『……あのー、きんときサン。これは一体どーいうつもりで……』


「えっ、何のこと?」


『さっきのこと…!!』


頬を膨らませながら彼に文句を言う。問いただしてみると、彼から返ってきたのは意外な言葉だった。


「ん〜……実は俺、人に囲まれるのとか苦手でさ」


『……えっ?』


「だから、トクベツな相手がいるって分かったら離れてくれるかなって」


彼の言葉を要約すると、つまり………


『人よけ………』


「そう、それ」


昨日の約束をいいことにちゃっかり私に人よけを頼もうという魂胆らしい。少しばかり、昨日約束してしまったことを後悔した。現実の吸血鬼ってみんなこんなんなのか…!?


『いやっ、あのでも私は……』


「………拒否権なんてあると思う?」


いつもと変わらない柔和な笑みで、でも何処か温度を感じさせないそんな言葉に、背筋に冷たい汗が流れた。そうやって笑われてしまえば、私も首を縦に振ることしか出来なくて……。


「じゃあよろしくね」


なんて朗らかに笑うきんときくんとは裏腹に、私は真っ青になりながら頷いた。約束なんて生ぬるいものではなくて、これは最早契約。しかもかなりの不平等条約で。



思えば、ここから私は、独占欲強めの吸血鬼に束縛される運命を辿ることになる。

気がつけば崖っぷち→←✽



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神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…!そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、!!!更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神崎いのり | 作成日時:2023年12月15日 23時

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