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少し時間が経つと、僅かに意識がぼんやりしていながらも頭が回るようになってきた。


『その……きんときくんは……大丈夫、?』


「……!大丈夫だよ、本当に助かった。ありがとう。それより、自分の心配をして。」


ふぅ、とため息をついて胸をなでおろすきんときくん。よっぽど私の体調が心配だったのだろう。さっきまで自分が極限状態だったというのに。


「あとー重ね重ね悪いんだけど……そのー……、このことはどうかご内密に……」


『誰にも言わないから安心して』


「うん……本当にありがとう」


きゅっと口角をあげる彼の瞳には、不安や罪悪感、そして寂しさが溶けているような気がした。
この世界で吸血鬼は、いてはいけない存在。いくら悪いことをしても、いくら良いことをしたって“有害な存在”であることに変わりはない。私は、彼との間に壁のようなものを感じた。それはきっと、互いに危害を与えない為の線引で、そして人間と吸血鬼との種族の境界線。世の中には線引をしない人だって沢山いるのに、態々一歩下がるのはきっと彼なりの優しさなわけで。それできっと、その境界線を踏み越えて彼に触れた人はきっといないわけで。危険であることはわかっている、けれど、私は引かれた線を越えて、彼に触れてみたいと感じてしまった。


『きんときくんになら、いつでも血あげるよ』


私でよければ、と付け足して線を飛び越えた。きんときくんの瞳孔が僅かに開いた。そして、次の瞬間にはスッと目が細められた。


「………自分で何言ってるか分かってる?」


彼の表情には怒りに近いけれど少し違う何かの感情が滲んでいた。私が言葉を入れる隙もなく、更に言葉が流れてくる。


「授業で習わなかった?いや、もしかして寝てて聞いてなかったか。吸血鬼に襲われた人間は良くて貧血で倒れる。最悪の場合

………命を落とす。その危険性を分かって言ってる?」


「俺だって例外じゃない。いくらクラスメイトで知り合いだからって心を許しちゃ………」


私は今、どんな表情をしているのだろうか。きんときくんはハッと我に返ったように言葉の波を止めた。


「……ごめん、そんな顔させるつもりじゃなかった。だからこれからは極力関わらないように……」


『きんときくんって、やっぱり優しいね』

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神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…!そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、!!!更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神崎いのり | 作成日時:2023年12月15日 23時

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