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……長い沈黙が訪れた。
目の前で蹲るきんときくんの表情には驚愕の色が浮かぶ。そんな彼の顔は、貧血なのか血色が悪い。いつも親切にしてくれた彼にまた同じように親切にしてあげたい。その願いは、彼が人外だと知ってもなお変わらないようで。やがて、驚いた表情に迷いが浮かぶ。正体を知られてもなお、普段とあまり変わらない、その感じに不思議と安心感を覚えた。
「………ごめん、」
グイッと腕が引かれ、その勢いで体が彼の方へ倒れる。弱っていても抗えない力の強さに性別の差を感じ、ドキリとする。抱きしめられるような形で、体が触れ合う。彼の方を見上げると、真紅の瞳と目が合った。きゅっと目が細められる。そして、制服にのボタンに手が掛けられた。ぷち、と第二ボタンが外され、少しばかり露わになった首元にそっと顔を近づけられる。さらさらの髪が肌に触れてくすぐったい。
……待って、今から吸われるんだよね？絶対痛いよね？注射針よりヤバいよね？
なんて心の中で呟きながら、今更になって歯が首元に突き刺さる事への恐怖を覚えた。スーッと体温が下がり、心臓の鼓動が早くなる。僅かに体も震えている気がする。
私が怖がっているのに気がついたのか、体に回されていた片方の腕が離れ、ポンと頭に置かれる。大丈夫、と耳にそっと言葉が触れた。強張っていた体の力が少しずつ抜けていくのを感じる。そして…、
『い"ッッ…！！』
ガリッ、と皮膚を引き裂く音がした。鋭い痛みが体を叩く。……しかし、それはたったの一瞬だけだった。痛みに呻く私の腕を勢いよく引っ張られ、そして引きずり込まれた。抵抗する間もなく、白の世界へと誘われる。パチパチと炭酸が弾けるように、目の前で閃光が散る。その世界で揺蕩う。意識を手放すまいとしているのに、あまりにも心地よくて思わず意識を差し出したくなる。気持ち悪い、けれど気持ちいい。相反する気持ちがグチャグチャに混ざり合う。
やがて、目の前の世界スゥーッと色が現れ始めた。体の感覚が戻っていく。いつの間にか、目尻には生理的に溢れた涙が溜まっていて、口ははくはくと酸素を求めていた。そしてまた気が付くと、目の前には心配そうに眉を下げてこちらを覗き込むきんときくんの顔が映った。その瞳に赤色はなく、いつもの蒼眼に戻っていた。
「Aさん、大丈夫？なわけないよな……」
なんて会話を自己完結させ、申し訳無さそうに視線を下げた。
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神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…！そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (
レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、！！！更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎いのり | 作成日時：2023年12月15日 23時
