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『……ってごめん。これ最近やってるゲームの話!大丈夫だって!ちょーっと冗談キツかったかー!』
ちなみにキツいのは冗談じゃなくて言い訳の方である。
「ぶっちゃけAの大丈夫は何も信用できないけど。とにかく、俺か何かしたわけじゃなくて良かった……」
『私が避けてた時期あったもんね。懐かしいなぁー』
「あの時ほんとに焦ったんだからね?」
当時それはそれは大事件だったけれど、今や笑い話になってしまうほど時間が経ったんだな、と考えると少しばかりしんみりとした気分になる。
『……ごめん、きりやん。』
気が付いたら、長年の付き合いである彼に謝っていた。勿論急に謝罪をされてもビックリするしかないって、それは分かってた。
『これから、会う頻度とか少なくなりそう。あ、別にきりやんの事嫌いになったってわけじゃないよ?昼も、多分一緒に食べる事とか少なくなりそうだし、』
「……それは別に良いけど、やっぱり何かあったよね?」
蜂蜜色の綺麗な瞳に見つめられ、グッと息が詰まる。自分が下手に嘘を並べ立てた所で、鋭いきりやんには何もかもを見透かされているような気がして、本当は洗いざらい話してしまいたいけど、長年の付き合いだからこそ巻き込みたくなくて。色々な思いが混ざり合い、スクランブルエッグのようにグチャグチャとかき混ぜられ形と色がどんどん崩れていった。
「言わなくてもいいけど、あまり1人で抱えこまないで。俺でよければいつでも相談乗るし」
『……うん!ありがとうね』
出来るだけ明るくお礼を言った。きっときりやんの事だから私が考えてる事とか、私が今無理に笑ってる事とか分かってそうだけど。
『ごめん!約束あるからそろそろ行くね!』
またね、ときっといつものようにしていた挨拶をして、空き教室から飛び出した。
「……随分と長かったね?」
ヒヤリ、と背筋に寒気が走る。
『き、きんときくん……』
壁にもたれ掛かるようにしてきんときくんは立っていた。笑顔を浮かべてはいるけれど、その目は決して笑ってはいなくて、その時初めて私は彼から逃げていたことを思い出した。
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神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…!そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、!!!更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎いのり | 作成日時:2023年12月15日 23時