彼に勝ちたい ページ13
「それで、最近の研究によると………って、Aが起きてるの珍しいな」
普段は寝ている吸血鬼の授業、自分でも珍しく真面目に授業を受けていると思う。先生の不思議そうな顔で此方を見ていた。ちなみに、こんなに真面目に授業を受けているのには勿論理由がある。
……チラッ、と隣に目を向けた。何時ものようにまともに授業を受けているきんときくん……と思いきや、待てよ?よく観察してみればいつもよりちょっとだけつまらなさそうな顔してるぞ…!?
今までのような普通の生活を続けていくならば気付けなかったであろう些細な変化に気づけて、少しばかり優越感を覚える。いや、優越感に浸っている場合ではないのだけれども。
吸血鬼の授業を寝て過ごしていたせいで、一歩間違えれば警察送り人生破滅エンドになるルートにまで引きずり込まれてしまった。だから、もっと情報を取り入れて対抗策を練らねば…!なんて固い決意を胸に、柄にもなく真面目に授業を受けているのだが。意外に受けてみればそれほどつまらないわけでもなく、創作でのありがちな設定だとかそんなものと比べてみたら正直楽しい。読み漁っているくせに何も知らない自分に少しばかり嫌気を覚えるけれど。
この国での法律は、吸血鬼だと判明した瞬間捕まるという一発アウトな法律があるのだが、過去にあった事件だとか1年間の被害数だとかの話を聞いていると、そんな法律をつくったのも頷ける気がした。そして、自分がいかに愚かな約束をしてしまったかというのも痛いほど分からせられた。
チラリ、と再びきんときくんの方向を見る。さっきよりつまらなさそうだぞ…!やっぱ知りきった話ばっかだよね。そりゃ私も人間の生態についてとか分かりきったことを長々と説明されてもつまんないしすぐに寝て……
なんて流石に長い時間顔を凝視しながら考えていたからか、きんときくんの方からニコリと笑顔が向けられた。傍からみればそれはとても穏やかで、もし私が事情を何も知らない純情な乙女だったら即落ちの優しい笑顔で、でも私には“あまりバレるような行動をするな”と言っているようにしか見えない。ハイ、スミマセンデシタ。と心の中で急いで顔を逸らして前に向き直った。
265人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…!そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、!!!更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神崎いのり | 作成日時:2023年12月15日 23時