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ぼんやりしていれば、いつの間にか学校が終わっていた。授業中寝ていたせいで未だにはっきりしない頭を抱え、学校カバンを引きずるようにして帰路に着いた。少しばかり歩き、外の風にさらされた頃ようやく意識が覚醒する。珍しい事じゃない、よくある事だ。そしてこの後にやる事は決まっている。
『………うわ、また忘れ物しちゃった』
カバンの中身を確認し、嘆息する。くるりと方向を変えて来た道を戻った。毎度の如く、学校に忘れ物をして取りに戻る。これが最早日課になっていて、面倒くささを感じてはいるが治る気配がない。早足で門をくぐり、教室へ向かう。既に教室には誰もいなくて、まっすぐ一直線に自分の机に向かって、忘れ物を取ってすぐに教室を出る………のが普通だった。教室に入ろうとする前、ピタリと足が止まる。窓の近く、壁にもたれ掛かるようにして誰かが座っていた。顔は俯いていて分からない……けど、考えるまでもなくその正体は分かった。
『え……きんときくん…？大丈夫？体調悪い？』
ピクリ、とその姿が揺れる。彼の近くまで来た頃に、ようやく視線が上がって………思わず息を飲んだ。
大らかに広がる海と、優しさを運ぶ潮風のような蒼碧の瞳、それが今はドロリと鮮血を注ぎ込んだような深緋に変わっている。ヒュッ、と喉が鳴った。それは思わず魅了される程に美しく、それでいて体に危険信号を鳴らす。本能が、逃げろと叫ぶ。食べられるのだと絶叫する。けれど、それで動いたのは僅か一歩だけだった。少し後ずされば、そのまま動かなくなる。意思とは反対に体は動かない。
「…………A……さん、？」
吹き抜けるような爽やか声が、少し掠れて私の耳まで届いた。その声で、意識が一気に現実へと引き戻される。
彼は……吸血鬼だったんだ。ヤバい、早く逃げないと。
そう思っているのに、体は動く気配を見せない。そうしているうちに、ぽんと頭にひとつ何かが浮かんだ。
『……もしかして、血が足りない…？』
何故そう尋ねられたのかは自分でも分からない。けれど、今は彼の事が心配でならなかった。……同じ種族ではないと分かっていながらも。
彼は少しばかり迷うような仕草をみせたが、やがてコクリとひとつ頷いた。そんな彼を見て、私の口は勝手に喋りだした。
『じゃあ……私の、飲んでいいよ』
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神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…！そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (
レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、！！！更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎いのり | 作成日時：2023年12月15日 23時
