始まりは、好奇心と親切心 ページ1
「はい、じゃあ授業始めるぞ〜」
教師のそんな声を聞き、黙って机の上に伏せる。もう何度目かの吸血鬼についての授業。毎度毎度、ご丁寧に真面目くさった同じ話ばっかりして飽きないのかね、なんて心の中で愚痴をこぼした。
この世界には、吸血鬼という存在がいる。吸血鬼とは、その名の通り人間の血を吸う存在の事である。普段は人間と同じように振る舞っていて、その正体を隠している。しかし、確実に存在する彼らの手によって、毎日何処かで誰かが被害に遭っている。それを問題に思った国か政府か知らないけど、学校で吸血鬼についての授業が取り入れられるようになった。その内容は、大まかな吸血鬼の特徴や、遭遇した時の対処など。
……でも、それがとてつもなくつまらない。創作のように面白みもなければ心躍る設定だってない。話は聞いたことあるけれど、自分は遭遇したこともないし、誰かの作り話なんじゃないかとさえ思ってしまう。
「Aさん大丈夫?体調悪い?」
その時だった。机に伏せている私の隣で、明るい声がひとつ名前を呼んだ。顔を上げて、その爽やかな声の持ち主の方を向く。
『あっ……ごめん。眠たいから寝てただけ…デス』
「そっか。なら良かった」
気にする様子もなく、愛想良く彼は笑った。隣の席のきんときくんだ。いつも優しくて、誰とも気兼ねなく接せて、ノリもいい。クラスでは結構人気の男の子で、私も嫌いではなかった。でも、そんな彼に想いを寄せる女の子も少なくなくて、正直その妬みが怖くて近づけなかったりする。もっとも、本人は気付いてないようだけど。
再び机に突っ伏しながら、改めて吸血鬼について考えていた。国では結構問題視されているけど、実のところ創作界隈ではそのコンテンツが人気だったりする。勿論、ニュースで聞くような話とは全く違う甘い話ばかりだけど。実のところ、その手の話題が気にならない……なんてことはなく、かなり沼ってたりするのはここだけの話。
そんなこんなで考えを巡らせていたら、授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響いた。そして、終わる間際に先生が一言。
「最近、この学校でも被害に遭う生徒がいるから気をつけてなー」
……この学校にいちゃったりするのかー
自分だって被害に遭う可能性があるのに、不思議と恐怖は感じなかった。
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神崎いのり(プロフ) - ゆのさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。コメントありがとうございます…!そう言って頂けてとても嬉しいです🥰緩くではありますがちまちまと更新していきますのでお付き合い頂けると幸いです✨ (4月19日 16時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - ほんとにとても癖です、、、!!!更新待ってます😿 (12月28日 15時) (レス) @page11 id: 8aabdc3085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎いのり | 作成日時:2023年12月15日 23時