番外編終了:最悪の結末 ページ50
『もう、疲れた。皆に迷惑をかけるのも、人を殺めるのも。皆大好き』
そう、書き残して彼女が消えてから3日が経った。グルッペン達は死力を尽くして探し回ったが、結果は上がらず。我々国軍は意気消沈していた。
「クソがッ!!」
「なんでやねん…何も聞いてへん、」
まだ現実味が湧かない。なんで、どうして。まさか。嘘だろう。
そんな気持ちが渦巻いていた。そして、見つかってしまった。
青い顔をして会議室に飛び込んで来たエーミールの手は震えており、口を開こうとすると嗚咽と、涙が止まらずに10分は本題を口に出来ずに居た。ようやく喋れるようになった頃には、大体皆察しがついていて。
「Aさ、が。我々国の北方の崖で、見つかりました。も、既に息はなくっ、て。うぅっ」
もう、それ以上は口に出来なかった。死体の半分以上は、飢えた狼に食われていた。残っていたのは、上半身。それも、胸から上のみだ。
ようやくAが死んだという実感が湧いて涙が出てきた。
「ふざけんな」
グルッペンは、眼鏡を外して泣き顔を晒してたまるかと天井を見る。トントンもオスマンも、濁点のついた泣き声をあげて長年面倒を見てきた女の死を悲しむ。
「A…ッ゛」
「あ゛あ゛あ゛!!!」
後日我々国軍にAの死体が届いた。本当に、見るも無惨な姿になって。火葬にはまだ時間がある。幹部らはその姿を見て、拳を握る。
涙は泣きすぎて枯れてしまった。グルッペンは、そんなAの遺体を抱き上げて、二度と開かぬその目にキスを落として、ギュッと抱き締める。
「ごめん、ごめんなぁ」
全ての元凶が自分だと分かっているから。どこかで無理矢理でも辞めさせれば良かったんだ。後悔の念がふつふつと湧いてくる。
「Aは、きっと笑って死んだんとちゃうか」
「これが、Aの償いやねん。奪ってきた命の重さに耐えられんかったんや。楽に、なりたかったんや。そうやろ？A」
サラッとゾムがAの髪を梳く。
「大勢の人を嬲り殺した自分には、お似合いのラスト。そんなん思って死んだんやったら、死後地獄行って脳天引っぱたくぞコラ」
届くはずもない声をかけるシャオロン。
「Aさん。俺が貸した本、返しに来てくださいよ。今なら、許しますから」
「俺も、今度は俺が奢ったるから。もう一度、起きてよA」
「チーノ…ショッピ君」
これが、我々国崩壊に繋がるとはAは知らなかった。
これは、存在したかもしれない別世界線のお話。
fin
終わり
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みかん - 一気読みしました！凄く面白かったです！ (12月15日 21時) (
レス) @page50 id: 23cbb9e2de (このIDを非表示/違反報告)
ほよん - みんな彼女を大切に思ってるんだなと思いました！とても面白かったです✨ (8月14日 14時) (レス) @page50 id: 3ca2752c0f (このIDを非表示/違反報告)
n - 久しぶりに神作読ませて貰いました！めっちゃ面白かったです！ (6月13日 12時) (レス) @page50 id: a313beec07 (このIDを非表示/違反報告)
ｎｎ - いい意味で鳥肌が立ちました、、！！めちゃくちゃ面白かったです！！ (2023年2月1日 23時) (レス) @page50 id: d2a3e7d3b4 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - この作品も最高だったぁぁぁ!!!!!Ｒじゅーはちじゃないのでみられてうれしいです!!他の作品も見ますね!!!!! (2022年12月9日 20時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月9日 20時
