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Aの唇を奪ったゾムは、Aがどれだけ暴れても唇を離さなかった。Aとゾムとでは力の差がありすぎる。ゾムにとってAの抵抗は虫と同じ。後頭部をガッチリホールドされているため、離れられない。
「んぅ……!!」
意識が飛びそうになったその瞬間、ゾムは口を離す。テラテラと光る糸が2人の唇を繋いでプツッと切れる。酸素をとことん奪われたAは、嫌でも生存本能で酸素を肺に取り込む。
「……息、できる？」
「そういう事か。ありがとう、ゾム。助かった」
「……死なれたら、拷問官が居なくなってまうからな」
パニックで息の仕方を忘れたAに、無理やり酸素を取り込ませるためにやった事だ。コトっと机の上に昼食を置いたゾムは、Aを疑惑の目で見る。
「お前……」
「違うの。ゾム。たまたまだから。今日だけなの。だから、誰にも言わないで。心配かけちゃうの嫌だから」
「まぁええわ」
興味を無くしたらしく、ゾムは部屋を出て行った。バタンと扉が閉まると同時に、力が抜けて床に座り込む。
「もう……嫌だ」
人に迷惑をかけて生きる自分が恥ずかしい。自分が嫌われる分にはいいが、グルッペン達まで変な噂を流され、真夜中に発作で起こしてしまって。軍に貢献しているとはいえ、迷惑をかけすぎじゃないかとよく思う。
「……食べよ」
そんな嫌なことを忘れるために、Aはゾムが持ってきた昼食を食べ始める。なんだか、少し寂しい。
遅めの昼食を終えた後は、拷問室の掃除だ。Aは、1人で全ての仕事をしている。拷問官という精神を病む仕事は、自分以外にさせたくないから。誰にも自分のような思いをして欲しくないから。換気をしながら、床に付いている血痕をモップで拭いていると、キィ……と立て付けの悪い拷問室の扉が開く。
「なんだ、グルッペンか」
「なんだとはなんだ失礼な奴やな。んで、今日は俺の番やろ？」
「あー、そうだね。どうした？都合悪いならトントンのとこ行くけど」
「ちゃうちゃう。今、部屋整理してんねん。せやから、Aの部屋行ってもええ？」
「それだけ？」
「せや。夕食時でもええけど、こんな話聞いたらアイツらブチ切れるやろ」
苦虫を噛み潰したような顔でグルッペンが言うと、Aも同様の顔で苦笑する。グルッペンは拷問室を見回して、顔を顰める。
「湿気た部屋やな」
「こういう方が情報吐いてくれるからね」
壁にかけてある拷問器具の数々。
「じゃ、頑張れ」
「わざわざありがと」
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みかん - 一気読みしました！凄く面白かったです！ (12月15日 21時) (
レス) @page50 id: 23cbb9e2de (このIDを非表示/違反報告)
ほよん - みんな彼女を大切に思ってるんだなと思いました！とても面白かったです✨ (8月14日 14時) (レス) @page50 id: 3ca2752c0f (このIDを非表示/違反報告)
n - 久しぶりに神作読ませて貰いました！めっちゃ面白かったです！ (6月13日 12時) (レス) @page50 id: a313beec07 (このIDを非表示/違反報告)
ｎｎ - いい意味で鳥肌が立ちました、、！！めちゃくちゃ面白かったです！！ (2023年2月1日 23時) (レス) @page50 id: d2a3e7d3b4 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - この作品も最高だったぁぁぁ!!!!!Ｒじゅーはちじゃないのでみられてうれしいです!!他の作品も見ますね!!!!! (2022年12月9日 20時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月9日 20時
