検索窓
今日:1 hit、昨日:33 hit、合計:2,651 hit

Satoru ページ3

「ねえ」

「もう今日はずっとここにいようよ」

突然腕を掴まれてサトルに言われた

その額には汗をかいていて、とても焦っている様子が伺える

私だってここに居れるならいたいが、所詮は夢の中

いつまでもいることは出来ない

私は申し訳ないながらも首を横に振った

「そう、だよね…」

「あはは」

「僕、何言ってるんだろ…」

「Aが困るだけなのに」

見ると彼の顔は酷く落ち込んでいる

私のせいで彼が悲しむのは辛い

彼に負けてまだもう少しいようかな、と言った

すると見る見るうちに彼の顔に明るさが戻った

「ほんと?」

「君ってやっぱり優しいね」

「すぐ甘えたくなっちゃうよ」

彼の笑顔は私の心を和ませてくれた

屋上ののどかな風が頬をくすぐる

1番上の屋根に座ってると、隣に彼が座ってきた

出会ってから月日が経っているので、距離も近い

まあ、彼は初対面の時から距離が近かったような気がするが

そして自然と彼と手を繋いでいた

「Aの手温かいね」

「…あ、手を繋ぐの嫌かな?」

「……嫌じゃない?良かった」

彼といると心が落ち着く

今なら嫌だったことも全て忘れさせてくれるから

だけど現実はそう甘くはない

夢を見すぎるのはあまり良くないし、元の場所へ帰らなきゃ行けない

彼にそろそろ夢から覚めなきゃいけないことを伝える

「え…」

「やだよ、もう行っちゃうの?」

「また僕を置いていくの?」

いつも帰るときは同じ反応をする

悲しいけどお別れの時間

彼は頑固なので、ここは手を振ってすぐに帰るのがいい

後ろを向き走り出そうとしたとき、背中に鈍い痛みを感じた

頭だけ後ろに向けると、手にカッターを持った彼がいた

「はは…Aって中も温かいや」

「本当はこんな乱暴なことしちゃいけないの、分かってる」

「だけどね?我慢できなかったんだ」

分からない

彼の考えてることが分からない

分からないから怖くなった

血のついたカッターを持っている彼の顔は先程の穏やかな顔ではなく、快楽に満ちた顔であった

「大丈夫、僕といれば不安なことなんてないよ」

「怖かったこと、全部受け止めてあげる」

そう言い、強く優しく抱きしめる彼

「だから……もうここを出るなんて言わないで」

「ずっと傍にいてね」

Nyon→←Luther



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:ranfren , ランフレン
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちゃー(プロフ) - 柏餅さん» わーい🙌🏻ありがとうございます🥰🫶🏻 (4月5日 16時) (レス) id: 7d56df30bb (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ! (4月5日 7時) (レス) @page3 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちゃー | 作成日時:2024年3月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。