10月、文化祭 ページ9
すっかり10月となり、文化祭が始まった。
文化祭の日は授業を行う必要は無いから好きな格好ができる。もちろん、立場をわきまえた格好だけど。
いつもと違う雰囲気で、主役は生徒達だって分かってるけど、やっぱりわくわくしてしまう。非日常って感じが凄くするんだもん。
生徒達の様子を見守るついでに文化祭で変わった学園内を歩き回ることにした。制服の子達でいっぱいなのは当然だけど、出し物の影響かいつもと違う格好の生徒達もいっぱいだ。
生徒達に「何か手伝えることはある?」と聞いたけど「今回は特に無いよ」と言われてしまったので完全に暇だった。わたしが顧問をしている園芸部としての出し物も同じように用無しだと言われる。
ちょっとショック。まあ生徒達がそれで良いなら良いんだけどね。
でも手持ち無沙汰なのでぶらぶらと学園内を歩き回る。お腹は空いてないから露店で何か食べ物を買うって気分じゃ無いんだよね。だからと言ってフォトスポットで撮りたい写真もないし……友達と一緒だったら楽しめたかな?
ミオソティス先生と一緒だったら良かったのかな?
「うーん」
色々と考えてみる。……でも一応今は先生としての仕事中なんだよね、これでも。だから生徒達と同じノリだったら良くないのかな?
そんなことを考えながら歩いていると。
「あ」
「……」
ヘッケンローゼ先生だ。向こうがちょっとビクッてなったのちょっと面白い。跳ねたって言うよりは動きを止めたって感じなんだけど。
「……貴女、相当に運がよろしいですね」
なぜか恨みがましそうな低い声で言われたんだけど。え、何?
「どうしたんですか?」
ヘッケンローゼ先生に近付いてみると、彼は少し後ずさる。
「……私はあまり歩き回らないもので」
「そうなんですね」
「これでも生徒達の様子は確認しています」
「わたしも、生徒達がちょっと気になって学園内を見てます」
手元に露店の飲食物があるのでいくつか購入したみたいだ。楽しそうには見えないが、意外と楽しんでいるらしい。
「……楽しんでも良いんですかね?」
「好きに楽しんでも良いのではないですか。楽しんでいる生徒達の邪魔をする方が問題でしょう」
「なるほど……」
じゃあもっと楽しまなきゃ、と思う。露店で色々買ったり生徒達の邪魔をしない程度に交流するとか。来年やってみようかな。
ヘッケンローゼ先生は背が高いから人混みで目立つな、と思いながら隣を歩く。だが同様に白いから人混みで目立つと思われている。
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作者名:鬼灯 | 作成日時:2024年4月10日 14時